論文のオープンアクセス(OA)経費を研究者がその研究費から出すというのは、時代遅れになりつつある。東北大学、東京工業大学、総合研究大学院大学、東京理科大学の4大学図書館長は、世界3大学術ジャーナル出版社の一つであるワイリーと論文のOA出版に関する覚書を締結した。各大学の所属研究者は、4月から同社の全ジャーナルを読むことができ、またハイブリッド誌へのOA出版を経費の負担なく行えるようになる。ジャーナル購読契約の中にOA出版経費を織り込む契約は、世界各国の大学・研究機関で行われているが、日本の複数大学が大手出版社とこうした契約を行うのは初めて。
研究論文のOA化は、納税者への説明責任を果たすと同時に、研究成果のビジビリティを上げることで分野を超えた共同研究のきっかけにもなるため、世界の潮流となっている。しかし、有力雑誌のOA経費を含む投稿経費は1論文あたり数十万円にもなるため、科研費の基盤研究Cなどでは、こうした雑誌への掲載は諦めざるを得ないのが現状だ。
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