2020.03.27 研究・成果
東京大学大学院人文社会系研究科の大畑龍特任研究員と今水寛教授、ATR認知機構研究所の浅井智久研究員、高知工科大学、北海道大学などの研究グループは、「まさに自分が運動している」という感覚である運動主体感が感じられるまでの脳内過程を、実験課題と機械学習による脳活動情報の解析により明らかにしたと発表した。実験の結果、右脳の縁上回(頭頂葉の一部)が運動主体感を感じる上で中心的な役割を果たしていることがわかった。リハビリテーションの効率化や、自動運転技術への応用が期待される。
運動主体感は、他の誰でもなく自分が運動を行っている本人(主体)であるという感覚であり、人が日常で行う様々な行動に関わっている。例えば人が様々なデバイスを使うとき、そのデバイスが使いやすいならばこの感覚を強く感じている。運動主体感には、運動をコントロールする働きや、自分が主体であるという感覚を感じとる働きなど複数の要素が関わると考えられているが、従来の研究では、一瞬で完結する運動課題の際の脳活動が調べられ、これら個々の役割を担う脳領域はわかっていなかった。
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