2020.05.22 研究・成果
酸素と水素で発電する燃料電池は、水のみを排出するため、クリーンなエネルギー源として、その用途が広がっている。燃料電池を搭載した車が国内外で発売されているが、まだまだ普及していない。車載用燃料電池の普及には、電池構成材料の高性能化が必要だ。例えば、電解質には、固体中で水素イオンのみを高速で輸送・伝導でき、柔らかく、電極と接合しやすいことが求められる。この性能が、湿度ゼロ、かつ120~160度Cの温度範囲で実現できれば、燃料電池の効率向上やプラチナなどの貴金属触媒の使用量の低減、車体のコンパクト化など多くのメリットを生み出すことができる。
京都大学アイセムス(物質-細胞統合システム拠点)の堀毛悟史准教授、小川知弘特定研究員らの研究グループは、デンソーの高橋一輝研究員、JEOL RESONANCEの西山裕介研究員らのグループと協力して、湿度ゼロ、120度Cの環境で高い性能を示す電解質材料の合成に成功した。英国王立化学会誌Chemical Scienceに注目度の高い論文として掲載された。
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