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毎週金曜日発行

コラム・素領域 2018年

科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。

2018年3月16日号 素領域

92年前の3月16日。ロバート・ゴダードが液体燃料ロケットの打ち上げに成功した。細やかなコントロールができる液体燃料ロケット技術は日本の基幹ロケットにも採用されており、現代の宇宙開発に欠かせないツールだ▼先月、米国のスペースXが大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げに成功。搭載品の赤い電気自動車は太陽周回軌道に投入された。新型ロケットはその高い輸送能から、今後の宇宙探査に活用されていく可能性が…

2018年3月9日号 素領域

次世代医療基盤法が今春、施行される。本人が拒否しない場合、個人の医療情報(診察歴、投薬歴、手術歴、健診情報、各種検査値等)を医療機関から認定事業者に提供でき、認定事業者は、これら情報を匿名加工した上で、利用を希望する研究開発の現場に提供できる▼大規模な医療情報を統合的に解析・分析することで、ある患者に対して様々な治療選択肢の中から、最適なものを選ぶことが可能になるほか、疾患Aと疾患Bとの関連性が明…

2018年3月2日号 素領域

総務省統計局「国勢調査」資料によると、戦後、3大都市圏を含む関東、近畿、東海ブロックの人口が増加し続けており、特に戦後一貫して、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)を含む関東への集中が続いているという▼資料によれば、2015年の時点で、関東地域の人口が全国に占めるシェアは35%以上で、ほぼ日本の人口の3分の1が関東地域に集中していることになる。東京圏だけでも30%近い▼いま、ICT(情報通信…

2018年2月23日号 素領域

今年6月頃に宇宙航空研究開発機構の探査機「はやぶさ2」が小型惑星「リュウグウ」に到着する▼約1年半ほど滞在し、観測を進め、着陸できそうな場所を探り、砂の採取にチャレンジする。リュウグウは、有機物や含水鉱物をより多く含み、太陽系の起源・進化、生命の原材料物質の解明が期待される原始的な天体。2020年末頃に、成果を抱いて地球に凱旋する予定だ▼ところで、今年はこうした宇宙のロマンを満喫できるイベントが多…

2018年2月16日号 素領域

生態系において、相互に利益のある共生(相利共生)は、マメ科植物と根粒菌によるものがよく知られている。身近なところでは、ヒトを含めた真核生物の細胞内のミトコンドリアや植物の葉緑体も、かつては細胞内共生細菌だったと考えられ、いまでは我々が生きていくのになくてはならない存在だ▼こうした共生関係については近年、農業利用に向けた研究がめざましく進展している。作物に特定の細菌を感染させることで、他の細菌からの…

2018年2月9日号 素領域

人工知能関連のトップ1%論文占有率は、米国24・6%、中国19%となっており、日本は2・1%でしかない。研究開発投資額も米中に比べて、日本の規模は非常に小さい。人材も同様だ。こうした中で日本に勝つチャンスはあるのか▼産業技術総合研究所人工知能研究センター長の辻井潤一氏によるとAI研究のフェーズがシフトしているという。つまり、現在主流の巨大なデータセットを学習させるAIから、IoTやロボットと組み合…

2018年2月2日号 素領域

AI(人工知能)が進化し、様々な分野で応用開発の動きが進展している。AI自体の研究開発も盛んである。そして、周辺ではインターネットやモバイル端末が急速に普及し、IoT、ビッグデータ、クラウドなどICT(情報通信技術)の躍進が止まらない▼他へ目を向けても、ロボット工学や自動運転、量子コンピューター、iPS細胞、宇宙ステーション等々、多くの分野で目覚ましく発展している科学技術がある▼かつて、技術開発に…

2018年1月26日号 素領域

改めて歯の大切さを認識させられる研究成果が出された。歯周病がアルツハイマー病の症状を悪化させるというのだ▼その仕組みが日本の研究機関、大学の共同研究で明らかになった。それによると、歯周病菌の毒素がアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβという脳の”ゴミ”を増やし、認知症の症状を悪化させるのだという。そもそもアルツハイマー病は、認知症の約6割を占め、脳の神経細胞の中にアミロイドβタンパク質がたまり…

2018年1月19日号 素領域

大抵の新しいことは予定通りにいかないことの方が多い。特に先端的な分野ではよくあることだ。テクニカルな点だけでなく計画そのものに不安要素があったりする。しかし、うまくいかない過程から、画期的な発見があったりする。だから研究は面白いし、奥深い。うまくいかない方が多くの知見を得られることもある▼昨年、民間企業の宇宙開発・利用への参画を促す宇宙2法が施行された。宇宙ベンチャー各社が資金調達に成功しており、…

2018年1月12日号 素領域

今年度補正予算に盛り込まれた内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)では、従来の「自動運転」や「革新的燃焼技術」など、産学官による技術開発だけでなく、同時に大学改革を進めるという▼近年の科学やイノベーションを通じた大学改革の成功例としては、WPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)やCOI(センター・オブ・イノベーションプログラム)がある。WPIはサイエンスを軸に研究拠点を運営し、そ…

2018年1月1日号 素領域

昨年は米国のトランプ政権誕生による世界情勢の混乱や、北朝鮮の核開発にともなうミサイル発射、相次ぐ国際テロ事件など脅威を感じることの多い1年であった▼国内でも日本を代表する企業の不正が相次ぎ、その国際的信頼低下が心配されるなど、暗い話題が目立った。救いは卓球やバドミントン、スキージャンプ、フィギュアスケート、スピードスケートなど、スポーツ界での日本選手の活躍だった▼科学技術の世界では、残念ながら昨年…

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