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毎週金曜日発行

コラム・素領域 2020年

科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。

2020年7月3日号
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最近の調査研究によると、65歳以上で認知症を患っている人の数は、現在17・5%、それが5年後の2025年には20・0%、つまり5人に1人が罹患するという予測が出されている▼認知症は、医療費の高騰を招くなど国にとっても大きな社会問題となることが懸念されるだけに、予防は切実な課題となっている。それに関連して注目されているのが脳神経細胞の発生・維持・再生を促進する脳由来の神経栄養タンパク質「BDNF」で…

2020年6月26日号 素領域

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響で新たにテイクアウトや宅配等のサービスを始める飲食店営業者に向けて、衛生管理の徹底を注意するリーフレットを作成・発表した▼チェック項目としてテイクアウトに適したメニューであるかなど5項目をあげ、食中毒を防ぐため調理者が普段から行っている衛生管理に加えて注意してほしいとしている▼食中毒は細菌やウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫などが食品に混入する…

2020年6月19日号 素領域

新型コロナウイルス感染症対策の一環として、審議会等の政府の会議もオンラインで行われるなど、3密を避ける取り組みが様々なところで行われている▼記者会見も、ウェブ会見が数多く行われるようになり、リアルで会見する場合は、説明者との距離はもちろん、記者同士の距離も離されている。しかし、中にはウェブという手法を逆手にとって、主催者に都合の良い情報だけを流そうとする会見が行われることがある▼ウェブ会議システム…

2020年6月12日号 素領域

新型コロナウイルス感染症拡大で、外出やイベント開催などの自粛要請が続いているが、仕事や教育、催しなどで、ICT(情報通信技術)の活用が改めて見直されている状況だ▼報道関係でも、記者会見をオンラインで行う企業などが増えたが、主催側の説明だけでなく、質疑応答もできるため、通常の対面での会見と比べてそれほど不都合さはない▼講演会やシンポジウム、フォーラムなどのオンライン開催も経験してみたが、講演者の顔や…

2020年6月5日号 素領域

最近、特に気になっていることがある。新型コロナウイルスのことかと思われるだろう▼緊急事態宣言が全面解除されたとはいうものの、第二波、第三波が懸念されるだけに、確かに大いに気がかりではあるのだが、それとは別、実は地震のことである。5月のゴールデンウイーク中に2度も緊急地震速報がテレビ等で報じられたことに気づいた方も多いだろう。つい最近でも、震度4程度ではあるが、宮城、福島、茨城、千葉、長野、岐阜、徳…

2020年5月29日号 素領域

関東甲信の昨年の梅雨入りは6月7日ごろで、梅雨明けは7月24日ごろだった。例年最も早く梅雨入りする奄美と沖縄が今年は昨年より4日早い5月10~11日ごろ梅雨入りしている。梅雨は晩春から初夏まで例年1カ月~1カ月半続く。梅雨時は水害が起きやすくなるため今年も注意が必要だ。昨年6月6日から7月24日までの豪雨および暴風雨は梅雨と台風3号、5号の影響で九州を中心に大きな被害を発生させ、激甚災害に指定され…

2020年5月22日号 素領域

新型コロナウイルス感染症への対応の一つとして、全国知事会などは9月入学制の導入を求めている。児童・生徒・学生の勉強の遅れを解消することや国際標準に合わせるためだというのが理由だ。日本若者協議会が実施したアンケートでは、小中高生全体では賛成37・2%、反対47%という結果となったが、高校生だけで見ると賛成が反対を上回るという▼日本教育学会は、今のまま単に9月にずらすと、私立大の授業料だけで1兆円とい…

2020年5月15日号 素領域

ようやく縮小の気配が見えてきた新型コロナウイルス感染。多数の感染者を出している米欧などに比べれば、日本は数の上ではまだ少ない方だが、だらだらと横ばい状態で推移してきたのが、大型連休で縮小傾向が続くようになってきた▼そのため自粛緩和などに動く自治体なども出てきたが、緊急事態宣言の1カ月延長で、さらなる外出自粛、休校、テレワーク、飲食店や娯楽施設などの営業自粛などが続くこととなり、様々な課題が持ち上が…

2020年5月1日号 素領域

ACE受容体をご存じだろうか。この働きが今、全世界で拡大する新型コロナウイルス感染の防御の鍵を握る存在かもしれないのだ▼そもそも受容体とは、生物の体にあって、外界や体内からの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造のことである。我々の口腔内には、ウイルスレセプターと呼ばれるウイルスが吸着しやすい受容体がいくつも存在している。新型コロナウイルスは、ACE2受容体という細胞…

2020年4月24日号 素領域

新型コロナウイルスの感染防止を目的に、人との接触8割減を目指し、在宅勤務を含むテレワークが推奨されている▼政府は「働き方改革実行計画」でも柔軟な働き方がしやすい環境整備として、テレワーク等の導入を推奨してきたが、日本ではこれまで普及してこなかった。現在は様々な企業や組織でおそらく致し方なく導入されているが、これを機に課題等が明らかになることを期待したい。企業等ではテレワークにおける勤怠評価制度は未…

2020年4月17日号 素領域

新型コロナウイルスに対抗するため、世界中の科学者や関係者が様々な取り組みを行っている。エルゼビアやシュプリンガーなどの数多くの出版社が、関連論文やインフォグラフィックスなどを無料公開し、bioRxivやmedExivなどのプレプリントサーバには毎日のように新しい論文がアップされている。これらは科学者コミュニティ全体の「知」を向上させている▼内閣府は新型コロナ対策×テック会議を開催。民間事業者の技術…

2020年4月10日号 素領域

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、日本でもこれに対応した特別措置法に基づく緊急事態宣言が出されるなど、深刻な状況が続いている▼大人は外出を控えたり、会社に出勤しないテレワークに切り替えたり、子供たちも休校によって家庭での勉強を余儀なくされたりしている▼皆室内に閉じこもる時間が長くなり、運動不足になりがちである。運動不足になると免疫力が落ちるので、感染の心配が増す。そこで、いろいろな方面から適…

2020年4月3日号 素領域

2004年に起きたスマトラ沖の大地震、そして2011年の東日本大震災は、そう簡単に記憶から消え去るものではない。特に強烈な思いとして残っているのが津波であろう▼あの大きな水の塊が怪物のように押し寄せ、人、建物、あらゆるものを呑み込んでしまう姿。まさに恐怖そのものである。地震と津波が直結していることが、改めて頭に焼き付けられた▼さらに厄介なのは、津波にはいろいろなタイプがあることだ。なんの前触れもな…

2020年3月27日号 素領域

農林水産省は新型コロナウイルスの影響で需要が低下している切り花等の消費拡大を目的に「花いっぱいプロジェクト」を展開している。家庭や職場に花を飾って楽しむことを推奨するものだ。好みもあるとは思うが、ご家族や大事な人に花を贈ってはいかがだろう。外出自粛を求められるいま、身近に花を置いて心を落ち着かせるのもいいかもしれない。ちなみに3月27日は語呂合わせで「さくらの日」(日本さくらの会が1992年に制定…

2020年3月20日号 素領域

海外留学や研究継続を断念するといった事例が少なくない▼こうした問題は、以前から指摘されてきたことだが、政府の審議会等を見ると、そこに参加している多くの研究者は自らや家族の力でこうした問題を克服してきた経験を持つため、国内の若手研究者について支援を行うことについては議論が行われ支援制度が検討されることはあっても、海外留学について家族問題も含めて真剣に議論することは少ない。しかし、この20年間で人口構…

2020年3月13日号 素領域

新型コロナウイルスの感染拡大が、日常生活や社会活動、経済活動などあらゆる分野に影響を及ぼしており、全国の学校休校、各種イベントの相次ぐ中止や延期などが起きている▼年度末の2月から3月にかけて全国各地で開催される、各学会の大会や総会も同様であり、軒並み中止となっている▼本紙も、毎年度末に学会特集を組んでいるが、今年は現地での大会中止の影響を受けた。各学会とも大会の現地開催は中止としたが、大会は成立と…

2020年3月6日号 素領域

誰もがよく知っている冬を代表する星座といえば、オリオン座であろう。ギリシャ神話における狩人、オリオンにちなんで名づけられた▼この星座を構成する星の中で、左上に位置し、1等星として赤く輝いているのがベテルギウスである。いま、この星に異変が起きている。昨年の秋頃から急激に暗くなっており、過去50年で最も暗いという。専門家をはじめ筆者のような一般の天文ファンの間でも、星が最期を迎える超新星爆発の兆しでは…

2020年2月28日号 素領域

農作物をはじめとした優良な新品種の海外流出を防止することを主な目的とした種苗法の改正案の審議が今国会で予定されている。内容は農林水産省の有識者会議(優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会)が昨年11月とりまとめた。現行の種苗法では、品種登録されていてもその品種の開発者(育成者)にはその意図に反した利用、例えば海外持ち出し等を制限する権限がないことなどを受けて、この適正化を…

2020年2月21日号 素領域

新型コロナウイルスの感染が新たな段階に突入した。中国への渡航歴がない人や、旅行者と接触したことがない人などにも感染者が出てくるという国内感染の拡大だ▼政府は、新型コロナウイルス感染症対策本部を開催し、今年度予算の余剰分や予備費を投入するなど、国内感染対策、水際対策、産業対策などを実施している。感染症研究所や地方衛生研究所のPCR装置増強などによる検査体制の強化や血清抗体診断方法の開発などを盛り込ん…

2020年2月14日号 素領域

中国の武漢市が発生源とされる新型コロナウイルス感染の勢いが一向に止まらない。11日時点で中国本土での感染者は4万2000人を超え、死者数は1000人以上となった。日本もそうだが、欧米、アジアなど世界各地でも感染者が確認されている▼一方で、地球温暖化が原因と考えられる海面上昇、超大型台風や豪雨、猛暑などの異常気象、山岳地域や北極地域の氷河の融解などにより、近年、世界中で洪水や土砂崩れ、干ばつ、森林火…

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