科学技術の進歩に寄与し
豊かな社会発展に貢献する
唯一の専門紙です。
毎週金曜日発行

TOP > コラム・素領域一覧 > 素領域一覧

素領域

科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。

2023年6月30日号 素領域

ステルスマーケティング(ステマ)とは、実際は広告主による広告であるにもかかわらず、消費者にはそれが分からないような欺瞞的な宣伝行為のことを指している▼国民の消費行動のデジタル化の進展とともにインターネット上の広告、特にSNS上の広告について、ステマが一般消費者の合理的な意思決定を阻害するなどの問題が顕在化した。実際SNS上には、以前はそう思われる投稿が散見されていた。これを受けて今年10月から景品…

2023年6月23日号 素領域

自然科学は、自然の理を理解するものだが、その現象を観察するためには様々なツールが必要になる。こうした観察のための「目の歴史」は、自然科学の発展の歴史とも言える▼17世紀のオランダの科学者アントーニ・ファン・レーウェンフックは、歴史上初めて顕微鏡によって微生物を観察し、「微生物学の父」とも呼ばれている。織物商だったレーウェンフックは、生地の品質を見るため虫眼鏡を使っていたが、その経験の中で単眼式顕微…

2023年6月16日号 素領域

「日本はデジタル化が遅れている」というので、国を挙げたDX推進が行われている。マイナンバーカードの普及と活用はその大きな施策の一つで、各種の行政サービスに利用できるよう取り組みが進められている▼しかし、マイナ保険証や公金受取口座におけるひもづけのミスが続出するなど、ここに来てトラブルが相次いでいる。政府の焦りがミスを生んでいるようにも見える。「急がば回れ」という例えもある。時間はかかっても、まずは…

2023年6月9日号 素領域

生物個体ではなくそれが生息する場所の周辺で採取された水などに含まれる環境DNA(eDNA)から、そのエリアに存在する生物の種類や分布を把握できる環境DNA解析が近年注目されている。水中や土壌中など環境中に放出された生物由来のDNAの集合体を解析することで、そこに生息する生物そのものが発見できなくとも存在をモニタリングできる▼東北大学や日本郵船などからなる研究グループは、昨年6月に環境DNAを用いた…

2023年6月2日号 素領域

G7科学技術大臣会合が行われていた仙台・秋保温泉からの帰り道。バスの中で、東北大学の学生さんと話をする機会があった。その時に「G7といっても、経済規模では世界の中心ではなくなっているのに、G7サミットや科学技術大臣会合を開く意味はどこにあるのですか」と聞かれた▼かつて、サミットでの決定が世界の潮流を決めていた。しかし、途上国の急激な経済成長などにより、G7の経済規模は世界の半分以下になり、またG7…

2023年5月26日号 素領域

人類の知恵を結集させたはずの科学技術は結果として地球温暖化や核兵器などの深刻で大きな脅威をもたらしている▼科学技術の発展は人類に豊かさと幸福をもたらしてきたが、一方ではそうした事態も生み出し、残念ながら、科学技術に対する信頼や期待は失われつつある▼そして今また生成AIをはじめとするAIの研究開発や利用の在り方が、にわかにクローズアップされてきている▼この問題を議論した4月末のG7群馬高崎デジタル・…

2023年5月19日号 素領域

国連は昨年、世界人口が80億人に達したと発表し、2050年には97億人、80年には約104億人でピークを迎えると予測した▼2013年5月に国連食糧農業機関(FAO)は食品および飼料における昆虫類の役割に注目する報告書を公表した。FAOがオランダのヴァーヘニンゲン大学と共同で行った調査研究によれば、人は1990種類を超える昆虫を食用にしている。昆虫は食品および飼料としての可能性を秘めていると報告した…

2023年5月12日号 素領域

先日、若い記者に「なぜ日本学術会議は透明性の確保に応じないのか」と聞かれて、少しあきれてしまった。直前にあった内閣府の説明で、会員選考に選考諮問委員会を導入することに学術会議が反対したのは、不透明なプロセスで会員を選びたいためじゃないかと理解してしまったようだ▼そもそも人を選ぶ際の透明性とはなんだろうか。私個人の考えとしては、後から検証可能であることだ。選挙であれば得票数、組織内人事であれば内部・…

2023年4月28日号 素領域

昨年11月にChatGPTが公開されて以降、こうした生成AIや生成系AIと呼ばれる人工知能の利用や研究開発の在り方が大きな話題になっている。英語ではジェネレーティブAI(Generative AI)と呼ばれているものだ▼これはデータから画像や文章を自動生成することができるAIである。従来のAIは膨大なデータを機械学習し、それをもとに分析や予測などに応用されてきた。しかし、生成AIはそうした学習法で…

2023年4月21日号 素領域

日本財団と環境省は海ごみ対策共同事業の全国一斉清掃キャンペーン「海ごみゼロウィーク2023(春・秋)」の清掃参加申し込みを4月から開始した。5月27日~6月11日の期間を「春の海ごみゼロウィーク」として全国一斉清掃キャンペーンを実施する▼海洋には毎年約1千万㌧のプラスチックごみが流出し、今後も続けば2050年には魚の総量を超えると考えられている▼深海には独自に進化した生物が生態系をつくっている。今…

2023年4月14日号 素領域

経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス(SC)制度の創設に向けて議論が活発化している▼SCは、政府が持つ機密情報にアクセスできる権限を与えるもの。米国では機密情報のレベルを機密(top secret)、極秘(secret)、秘(confidential)に区分し、それぞれにアクセス資格が必要で、他のG7諸国も基本的には同様だ。お互いの資格を認めることで、各国企業が国際調達などに参加した…

2023年4月7日号 素領域

増え続ける世界人口。昨年11月の国連の発表によるとついに80億人を超えた。一方で、地球温暖化に伴う環境破壊・汚染などが深刻化しつつある。それに伴い、世界的な食料不足の問題が一層懸念されるようになった▼ロシアのウクライナ侵攻で生じた小麦の供給不足でも明らかなように、戦争も食料需給に大きな影響を及ぼす。アフリカなどの紛争地域では多くの難民が生まれ、実際に食料不足によって多くの子供たちの命が失われている…

2023年3月31日号 素領域

桜は関東までほぼ開花を迎え、今年の開花は平年と比べかなり早いものになった▼今年は都市公園制度が開始されてから150周年の節目の年になる。同制度は1873年1月15日の公園開設に関する太政官布達第16号をもって始まり、これに基づき全国各地に公園が生まれた。都内では同年に芝公園と上野公園が開園した。(一社)日本公園緑地協会は同制度制定150周年記念事業ポータルサイトを開設し、各地のイベントを紹介してい…

2023年3月24日号 素領域

民主主義国家の構成要件には、適正に選挙が行われることなどによって、民意が国家運営に反映されることがあるが、欧米主要先進国では、アカデミーの存在も重要な要件の一つだ▼アカデミーはヨーロッパで民主主義以前に誕生した。英国の王立協会は1660年に組織され、1662年に国王の勅許によって、王立のアカデミーになった。フランス科学アカデミーは、1666年に生まれ、1699年、ルイ14世の庇護によってロイヤル科…

2023年3月17日号 素領域

ロシアのウクライナ侵攻は1年を過ぎても、いまだに終結への道が見えないでいる。その影響で、石油などのエネルギー価格や、様々な食料品の原材料になっている小麦の価格が世界的に高騰している▼それが電気料金やガソリン価格、食料品などの値上げにつながり、人びとの日常生活に影響が及んでいる。日本は化石燃料資源が乏しく、エネルギー源となる石油や天然ガスの大半を海外からの輸入に依存している▼様々な食品の原材料に使わ…

2023年3月10日号 素領域

太陽は水素1㌘から7千億kWものエネルギーを核融合で高効率につくりだしている。この現象を地球上でつくり出そうという試みが核融合研究であり、資源が海水中に豊富にあることや温室効果ガスを出さないことからエネルギー問題と環境問題の両方を解決するものと期待されている▼ITER(イーター)計画もその1つで、核融合エネルギーが科学技術的に実現するかの検証を目的に、国際協力体制のもとで核融合実験炉「ITER」の…

2023年3月3日号 素領域

政府はセキュリティクリアランス制度を創設するための検討を始めた。セキュリティクリアランスは、国家における情報保全措置の一環として、政府が保有する安全保障上重要な情報を指定し、その情報にアクセスする必要がある人に対して政府が調査を行い、その人の信頼性を確認した上でアクセス権を付与する制度。情報を漏洩した場合には厳罰が科される▼制度の概要からすると、公務員の一部にしか関係がないのではないかと思われるか…

2023年2月24日号 素領域

日本は後れをとったデジタル化を急いで進めてイノベーションを起こし、新産業を創出して産業再生などにつなげようと、政府が盛んに施策を展開している▼デジタル活用でキャッシュレス化、ペーパーレス化、リモート化、無人化などを進め、無駄をなくして効率化を進める。その先導役とするべく、マイナンバーカードの普及拡大を進めている▼インターネットの普及、デジタル化の進歩で確かに便利になった。スマートフォンやパソコンを…

2023年2月17日号 素領域

これからのAI(人工知能)はどこまで発展し続けるのであろうかと、つい素朴な疑問を抱いてしまう▼AIは今や人間社会の数多くの場面に入り込み、縁を切ろうにも切ることができない存在となっている。例えば、腕時計に時刻表示以外の機能が盛り込まれ、血圧、心拍数、血中酸素濃度などの情報を記憶し、瞬時に健康状態がつかめるうえに、そのデータをためておいてくれる。高血圧で日頃主治医のお世話になっている身にはありがたい…

2023年2月10日号 素領域

2月14日はバレンタインデー。ローマ帝国時代の西暦269年に殉教した司祭に由来し、キリスト教圏では恋人や家族、親友などが愛を祝う日とされている▼日本では大切な人にチョコレートを贈る習慣が定着しているが、これは洋菓子メーカーのメリーチョコレートが1958年に提唱し、広く社会に定着させた功績に対し、2013年に日本記念日協会から記念日文化功労賞(第3号)が贈られている。ちなみに3月14日のホワイトデー…

1 2 3 4 5 6 7 18

THE SCIENCE NEWS
  • facebook
  • twitter
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • 購読申込
  • メール