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素領域

科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。

2021年2月19日号 素領域

第6期科学技術・イノベーション基本計画のパブリックコメントで739件の意見が寄せられた。基礎研究や学術研究の長期的な支援が必要だとするもの、博士課程学生の環境の充実やキャリアパスに関するもの、大学等研究機関と民間との共同研究を進めるための環境整備や支援などを求めるものなどが多かったという▼パブリックコメントは、国民の意見を聞く機会として、最近では当たり前になっているが、その意見が実際の政策に反映さ…

2021年2月12日号 素領域

長引く新型コロナウイルス感染症拡大で人々は外出や会食などの自粛を強いられているが、暦はすでに2月に入り、学校では間もなく卒業、そして入学の時期を迎える▼多くの青少年が初めてスマートフォンなどを手にするこの時期に、総務省では毎年、青少年が安心・安全にインターネットなどを利活用できる環境の整備に向けて「春のあんしんネット・新学期-一斉行動」の取り組みを実施している▼携帯電話事業者などの情報通信関連企業…

2021年2月5日号 素領域

コロナ禍でテレワークが浸透しつつあり、自宅で過ごす機会が増えてきている昨今。しかも、3密回避や不要不急の外出自粛など、感染拡大を防ぐには仕方がないことではあるのだが、このような生活を続けることで、肉体的に衰えがみられ、精神的にストレスがたまってしまう▼少しでもよいほうに転じるため、まず肉体的には「貯筋」を勧めたい。筋肉は体を動かすために不可欠なだけでなく、健康維持にも多くの役割を担っている。筋肉量…

2021年1月29日号 素領域

今年の節分は2月2日で例年より1日はやい。節分は季節を分けるという意味で、立春、立夏、立秋、立冬の前日を指し、立春だけが現在も残っていると考えられている。国立天文台によれば、立春をはじめとした二十四節気は、天文学的に地球が公転軌道上のどこにいるのかで決定するため、節分も移動する。節分が2月3日でなくなるのは1984年以来37年ぶり、2日になるのは124年ぶりとのことである▼節分を控え、消費者庁は硬…

2021年1月22日号 素領域

コロナ禍の困難な時代にこそ、創業期のベンチャーが大きく成長するチャンス。「京大創業者応援ファンド(仮称)」創設の発表記者会見で、京都エンジェルファンドの山本康正社長は話した▼ベンチャー白書によると、2018年のベンチャーキャピタル投資は、米国14兆4573億円、欧州1兆861億円、中国3兆5370億円、日本2778億円と、日本のVC投資は極端に低い。このうち創業期投資は、米国1兆3000億円に対し…

2021年1月15日号 素領域

企業各社などのトップによる恒例の年頭あいさつでは、新型コロナウイルス感染症拡大で世界中が大きな影響を受け、企業活動や国民の生活が変化しており、デジタル化などニューノーマルへの対応が重要なことが強調されているように思った▼そうした中で年明けの7日、1都3県に対して政府の緊急事態宣言が発令された。昨年4月7日の7都府県を対象にした発令以来のことで、再び首都圏は緊張状態に入った▼企業トップなどの年頭あい…

2021年1月8日号 素領域

昨年の科学界の快挙といえば探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の砂などの試料を地球に持ち帰ったことがあげられる。初代の「はやぶさ」は帰還はしたが、十分な試料は得られなかった。今回は太陽系の成り立ちや生命の起源といった謎に迫ることができる▼ところで今、地球の周りに漂う宇宙ゴミの処理が急務で、各国がいろいろな対策を行おうしている。地上から見上げる空は無限のようにも思われるが、意外と狭い▼宇宙ゴミ…

2021年1月1日号 素領域

謹んで新春のお慶びを申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。読者の皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます▼今年は丑年。学問の神様として知られる菅原道真のお使いは牛で、道真を祀る全国各地の神社境内には横たわる牛の像が置かれている。触ると御利益があるそうだが、新型コロナウイルスの感染防止の観点から今年は対策を講じた上で触ってほしい▼家畜牛の起源は野生種のオーロックスで、家畜化は約1万年前…

2020年12月18日号 素領域

新型コロナウイルス感染症の中和抗体を含むダチョウの抗体マスクが売れており、注文しても3カ月待ちだという。京都府立大学の塚本康浩教授は十数年前、JSTの支援で様々な抗体をダチョウの卵(ダチョウの卵は鶏の卵20個分)を使って大量に作製する技術を開発。当時、高病原性鳥インフルエンザ抗体を持つマスクとして注目を集めていたが、コロナ禍で新型コロナウイルス抗体を大量生産する技術を開発し、マスクに適用したところ…

2020年12月11日号 素領域

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が短信レポートとして「海外トレンド・バイデン次期大統領で変わる米国のイノベーション・気候変動政策」を公表したが、その中でバイデン次期大統領は「環境正義」の基本思想を持っていると報告している▼「環境正義」という言葉を調べてみると、公害や気候変動などによる被害に遭うのは社会的弱者であり、そうした不平等を改めて是正することだという。バイデン政権が誕生すれば、…

2020年12月4日号 素領域

「虫けら」とは、小さく取るに足りない虫の意味で、転じて人を卑しめるために用いられる言葉だ▼虫にとってみれば迷惑千万なことで、「何様のつもりだ。俺たちの本当の能力を知らないくせに」と反発されそうだ。実際その通りで、人間はその能力に注目し、様々な分野に活かそうとしているのは確かである。例えば、「地上最強の虫」とも言われているクマムシ。体長はわずか1㍉程度でありながら、休眠状態になれば100度Cの高温、…

2020年11月27日号 素領域

気象庁は毎年、全国で統一した方法で植物の開花や紅葉、落葉や動物の初見・初鳴を観測する生物季節観測を実施している。植物季節観測として34種、動物季節観測として23種の観測が行われ、季節や気候の変化を捉えることを目的にしていた。残念ながら来年からは植物の6種9現象を残し、その他は廃止されるとのことだが、イチョウの黄葉やカエデの紅葉は継続が決定している▼イチョウやカエデは、標本木全体のうち大部分の葉が黄…

2020年11月20日号 素領域

いまだに、こんな課題が解決されずに残されていたのか。内閣府が行った競争的研究費に係る各種事務手続きに関するアンケート調査結果を見た時の正直な感想だ▼2015年3月の各省申し合わせでは、年度末までの研究期間の確保、使用ルールの統一、購入した研究機器の有効利用、研究費の合算使用、報告書の様式の統一、応募申請様式の統一、電子申請等の促進、使い勝手の改善に関する意見・相談窓口の設置の8項目について取り組む…

2020年11月13日号 素領域

新たに発足した菅政権が目玉とする「デジタル庁」新設などのデジタル改革推進。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に日本が世界的潮流に乗り遅れないよう、社会のデジタル化を加速させる改革である▼省庁や自治体の縦割りを打破して行政のデジタル化を進めるほか、マイナンバーカードと健康保険証の一体化、全小中学生に1人1台の情報端末の導入を進めるなどのオンライン教育拡大、テレワークの推進などを掲げている▼…

2020年11月6日号 素領域

15世紀から17世紀にかけて、いわゆる大航海時代にポルトガルやスペイン、英国を中心としたヨーロッパ人によってアフリカ、アジア、アメリカ大陸への大規模な航海が行われた。この航海を根底で支えた学問が地理学と統計学で、この知識があったからこそ壮大な企てが実現したといわれている。当たり前のことだが、教育が大切であるゆえんだ▼このほど2024年度以降に行われる大学入学共通テストの出題について、現在の6教科3…

2020年10月30日号 素領域

11月3日の「文化の日」は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」という趣旨で昭和23年に「国民の祝日」に制定された。昭和21年のこの日に日本国憲法が公布されたことを記念している▼文部科学省は毎年、11月1~7日を「教育・文化週間」として教育・文化に関わる活動を奨励するとともに、文化功労者の顕彰などを行っている。また文化庁は文化庁芸術祭を、関東では10月12日から、関西では10月2日から、いずれも11…

2020年10月23日号 素領域

日本学術会議の新会員任命問題によって、研究者コミュニティが大きく揺れている。6人が任命されなかったことに対して反発が大きいのももちろんだが、その後、学術会議のあり方についても見直しを行うと自民党と政府が決めたことで、現場は戦々恐々としている▼そもそもアカデミーというものは、政府からは独立した存在だが、日本には特殊な歴史的経緯があって、現在のような政府組織の一部という位置づけになった。一方、諸外国で…

2020年10月16日号 素領域

「こんなものがあったらいいな」と思うことはよくあるが、最近感心したのは、本号で紹介している「テレキューブ」である。かつて街中でよく見かけた電話ボックスを少し大きくした、防音型のコミュニケーションボックスである▼内部にはテーブルと椅子、電源コンセントなどを備え、周囲から閉ざされセキュリティの保たれたプライベートなワークスペースが確保できる▼駅や商業施設などの公共の場をはじめ、企業のビルなどに設置され…

2020年10月9日号 素領域

今年の夏も暑かった。コロナ禍でマスク着用が当たり前になり、熱中症の危険性が高まったこともあり、改めて水のありがたみを認識した人も多いことだろう▼人間が水なしでは生きていけないのを前提としたうえで、「水は健康によい」と言われることもあるが本当はどうなのであろう。「水分摂取による健康増進効果の検討」に関する民間機関の研究成果が発表された。研究では、日本人の50歳以上75歳未満の男女に、朝起床後2時間以…

2020年9月4日号 素領域

消防庁では平成20年から消防機関や医療機関、都道府県の協力により熱中症による救急搬送人数の調査を実施している。今年は6月1日から開始され、10月4日までを予定。8月17-23日の速報値では、1週間で約1万3千人が救急搬送され、多くは軽~中等症だが重症も387人いて、25人が死亡している▼熱中症は、高温環境下で体温の調節機能が破綻するなどして発症する障害の総称と定義され、症状はめまいや大量の発汗等の…

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